診療日記

子供のむし歯は減っている??

令和3年度の学校歯科検診の結果をまとめた令和3年度学校歯科保健統計の速報値が発表されました。この結果12歳児の永久歯のむし歯平均本数は0.63本と過去最低の数値となり、12歳児に子供達が抱えるむし歯の本数が減少している事が示されました。これは非常に喜ばしい事ですが、これは永久歯のみの数値であり、永久歯が生え出す6歳ごろから6年間でむし歯になってしまった歯が平均しても一人当たり0.63本もあるという事なのです。人生100年時代とも言われている中、今の子供たちは100歳以上生きるでしょう。それなのに一生使う永久歯が生え出してたった6年で未だに多くの子供が永久歯にむし歯を抱えてしまっているというのが正しい現状理解なのではないでしょうか。 更に、この調査の速報値には続きがあります。この調査で明らかにされた『むし歯の罹患率:むし歯の既往がある子供の割合』は依然高い数値のままでした。むし歯の罹患率は下表に示す通りです。
この結果によると、高等学校では39.77% 、小学校では39.04%、中学校では30.38%、幼稚園では26.49%の順で罹患率が高かった様です。また年齢別に見ると8歳児の罹患率が46.03%と最も高く、ついで9歳(45.9%)、7歳(40.26%)という結果でした。つまり永久歯が生え出す頃の段階で、口腔内に何らかのむし歯を抱える子どもたちが4割以上と非常に多いというのが現状で、乳歯から永久歯の生え代わりに即して一見むし歯が減った様に見えるものの、永久歯が生えてからも乳歯にむし歯ができたのと似た様なペースでむし歯を抱えてしまっている事がわかります。
特に小学校の時期は保護者の仕上げ磨きの頻度がだんだん減っていくなか永久歯が生え揃ってくる大事な時期でもあります。この時期のむし歯予防にしっかり取り組む事が非常に重要です。人生100年時代だからこそ、子供達をはじめ皆様に口腔の健康を生涯守っていただくための取り組みを続けてまいります。