診療日記

口腔の健康を守るということ

治療の日記

さてブログ初回の記事では、皆様と歯の治療の重要性と本当の価値について考えてみたいと思います。今回のケース『歯がしみる』ということでご来院されたケースです。よく見てみると、下の前歯の裏側が溶けて歯髄(歯の神経)が助けて見えております。これはむし歯というわけではなく、おそらく酸蝕といい歯が胃酸や酸性の嗜好品などで溶けていってしまった状態と思われます。また、口腔内のその他の部位も詳細に見てみると、ほとんどの歯が神経を取る治療の治療痕があり、下の前歯以外ほぼ全て被せ物や詰め物がしてある状態です。そして、悲しいことにほぼ全ての神経の治療が不十分で、骨の中に病巣ができ、詰め物や被せ物も適合が悪い状態です。これらの問題は患者様ご自身の歯磨きの問題というだけでは無さそうです。歯磨きをするかしないかということで言えば、現在歯を磨かない日本人は0と言って良いでしょう。実際は歯を磨くか磨かないか?ということではなく、正しい歯磨きの仕方を教えてもらえているのか?患者様ご自身でも磨けるように歯並びが良く、精度の良い治療がされているのか?ということも非常に大きな問題なのです。

そして、一番大事なことは『悪くなる理由がコントロールされているか?』ということです。このように、歯にたくさんの問題を抱えた方でも、始めは健康な歯が生えてきていたはずです。痛くなったら、何かあったら歯医者に行き神経を取ったり、削ったり被せたりして『また何かあったら来てください』を繰り返すことは、お口の健康を守ることになりません。また定期検診をしたからと言って、その度に新たなむし歯や歯周病が見つかる様でもダメなのです。この患者様も口腔内に沢山の治療痕がありますので、今まで足繁く歯医者に通ったはずですが、それらの問題は放置され、根本的な治療はされず、『また何かあったらきてください』を繰り返していたというわけです。

そこで、この患者様の場合もお口の健康を見直していくことなりました。

歯周炎の治療、リスクコントロール『悪くなる理由のコントロール』、不十分な根の治療に対する精密な根の治療、歯周形成外科(歯茎の形成外科)、精密な被せ物の治療を経て見違える口腔内を手に入れられました。詰め物や被せ物は、着替える事のできない服の様な物。初診時の状態と治療後の状態を比べて、笑顔がどのくらい更に素敵になるのかを想像してみてください。歯は笑った時しか見えませんが、笑った時に笑顔の中心に来るものです。歯は笑顔を印象付けると言っても過言ではないでしょう。

口腔内の健康を獲得する、口腔内の健康を維持する事の本当の価値をお分かりいただけると幸いです。